コラム

子どものリーダーシップを育てる方法

新しいリーダーシップの概念

世の中での活動は、組織、チームによって構成されている場合がほとんどです。
学校でのクラス、クラブ活動、社会生活では会社とその中の部や課、ボランティア活動、趣味のサークル活動など、まさにこの世は何かしら人との関わり合いを持つことが当然となっています。そんな中、組織やチームを率先して引っ張っていくリーダーシップの重要性は従来から声高に叫ばれていました。
しかし、以前と比べて昨今のリーダーシップはその考え方が新しく変化をしてきています。これまでのリーダーと言うと、特定の選ばれた人という意味合いが強く、それ以外のメンバーに対して「主=リーダー」と「従=フォロワー」の関係性が築かれていました。それに対して、今のリーダーとは、特定の一人が常にその他のメンバーを引っ張るというのではなく、場面によって、あるいは特性やタイミングに応じて誰もがリーダーになったり、フォロワーになったりと入れ替わる柔軟性があるのです。
例えば、大人から子どもまで老若男女があるチームを構成しているとします。腕力が必要な力仕事をする場合は体格がよく、体力のある大人が中心になった方が良いでしょうし、狭い場所に入り込んだり、瞬発力が求められたりする場面では小柄な子どもが適しているでしょう。
このようにリーダーシップを発揮する人は固定するのではなく、場面や特性に応じて常に入れ替わることで一人ひとりの特性を生かした柔軟性が求められるようになったのです。この考え方は、年功や性別に関係なく活躍の機会を与える平等と多様性に通じるものです。

推薦ではリーダーになれない

つまり、今の時代は誰もがリーダーになり、リーダーシップを発揮するチャンスを有しており、だからこそそのための準備をしておく必要があるのです。にもかかわらず、その準備を怠ってしまうとチャンスを活かせず、常に誰かに従う存在となってしまいます。
では、リーダーシップを発揮するための準備はどうすれば良いのか、その入り口は自ら手を挙げること、つまり立候補ということから始まります。以前のリーダーは、学級委員長やクラブの部長に代表されるように多数決で選出されることが多くありました。
しかし、新しい時代のリーダーは、他者から推薦されるのを待つのではなく、ここぞ!という時に自ら手を挙げて名乗り出る立候補が基本になります。したがって、どんな小さなことでも構いませんし、ワンポイントでも構いませんから、自分が出来そうなこと、他人よりもほんの少しだけ得意なことについて積極的に名乗り出る姿勢を若いうちから養っておく必要があります。
また、自分の特性を知り、得意な事に対して自信を持つ心を育てることも大切になります。そのためには、周りの大人は子どもの出来ないことや失敗を指摘したり、責めたりすることよりも、出来たこと、上手くいったことを評価し、褒めたたえる機会を多く持つようにしなければなりません。たとえ出来ないことや失敗があったとしても、成功し褒めることができるまで粘り強くサポートする存在になることも求められます。

言う人と言われる人の違い

自ら手を挙げて立候補するために必要な要素として、「他者から言われること」に対する耐性も重要になります。
リーダーとして名乗り出た場合、結果が上手くいくこともあれば、上手くいかないこともあるでしょう。上手くいけば賞賛されるでしょうが、失敗してしまうと非難されるかもしれません。仮に、良い結果が得られたとしても「やり方が気に食わない」とか「これじゃレベルが低い」などと非難されることもあるでしょう。
つまり、リーダーとして立候補することには、「他者から言われること」がつきものなのです。大人の世界にも子供の世界にも世の中には様々なリーダーが存在していますが、どんなに理想的なリーダーであってもメンバー全員から100%の賛同や賞賛を得られることは、ほとんどないと言えます。それに対していちいち落ち込んだり、狼狽えたりするのではなく、リーダーとはそういうものだと割り切れるメンタルの強さが必要なのです。特に、子どものうちは大人がそうした現実を教え、経験させるサポートが大切になります。
しかし、そこで考えるべきなのが、その耐性を持ち合わせている大人がどれだけいるかということです。さらに、自ら手を挙げて立候補する姿勢を持ち合わせ、積極的にリーダーとなった経験がある大人がどれだけいるのかということも重要です。リーダーとしての気概も経験もない大人の言葉を子どもに対して説得力を持って伝えることなど可能でしょうか。子どものリーダーシップを育てるためには、まずは大人のリーダーシップを見つめ、養うことから始める必要があります。従来とは異なる新しい時代のリーダー像を理解し、大人と子どもが一緒になって挑戦していきましょう。

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